タイの屋台でクイッティアオ(汁麺)を頼むと、たいてい最初に聞き返される。「どの麺にする?」と。
指差すと、ガラスケースの中に太さの違う白い麺が何種類も並んでいる。全部お米の麺だ。違うのは幅で、幅が変われば向く料理も変わる。
日本でタイ料理を作ろうとして袋麺を探すと、今度は名前で迷う。センレック、センヤイ、センミー、ライスヌードル、ライススティック。同じものが別の名前で売られていることもある。
タイの米麺を幅の順に並べ、どの料理に使うか、日本ではどこで買えるかをまとめた。
タイの米麺は「幅」で呼び分ける
タイ語で麺は「セン」。そのあとに付く言葉が太さを表している。
- センミー:いちばん細い。ビーフンに近い
- センレック:「レック」は小さいの意味。幅3mm前後の平たい麺
- センヤイ:「ヤイ」は大きいの意味。幅1.5〜2cmほどの幅広麺
この3つが基本で、パッタイ用にもう1つ、センレックより少し太い センチャン がよく使われる。東部のチャンタブリー県の名前から来た麺で、日本の通販では「パッタイ用ライスヌードル」の名前で並んでいることが多い。
数字はあくまで目安だ。メーカーによって1mmほどずれるし、袋に「S」「M」「L」とだけ書いてあることもある。迷ったら袋の表記の mm を見ればいい。
ベトナムのフォーとセンレックはかなり近い。どちらも米粉と水で作る平麺で、幅も3〜5mmの範囲に収まる。タイ料理用の麺が見つからないとき、フォー用の乾麺で代用できるのはこのためだ。
種類ごとの特徴と向く料理
センレック(細めの平麺)
日本でいちばん手に入りやすいタイの米麺。袋に「Rice Stick」「Rice Noodle」と英語で書かれていることも多い。
汁麺のクイッティアオ・ナームにも、炒め物のパッタイにも使える。どれか1袋だけ買うなら、これを選んでおけば外さない。
乾麺はコシが強く、ゆですぎても形が崩れにくい。そのぶん戻し方で食感が大きく変わる(後の節で書く)。
センチャン(パッタイ向きのやや太い麺)
パッタイを作るならこちら。センレックより少し幅があり、炒めてもちぎれにくい。
タマリンドとナンプラー、砂糖で作るパッタイのタレは粘りが出る。細い麺だとタレを吸いすぎて固まりやすいが、センチャンはほどよく絡んで止まる。
日本では「パッタイ麺」「チャンタブリーライスヌードル」と書かれた商品を探すと見つかる。タレとセットになったキットもある。
センヤイ(幅広の平麺)
きしめんよりさらに幅がある、つるっとした麺。タイでは生麺で売られるのが普通で、屋台でもほとんど生麺を使う。
醤油ベースで炒めるパッシーユ、とろみのあるあんをかけるラートナーが代表的な料理だ。汁麺にしても美味しい。
日本で困るのはこの麺だ。生のセンヤイは日持ちが短く、輸入される量が限られる。乾麺の幅広ライスヌードルなら通販で見つかるが、生麺のもちっとした食感とは別物になる。アジア食材店の冷蔵・冷凍棚に生麺が入っていることもあるので、近くに店があれば一度のぞいてみる価値はある。
センミー(極細麺)
日本のビーフンとほぼ同じ細さ。汁麺に入れるとスープをよく吸い、炒めると焼きビーフンのような一皿になる。
タイ産のセンミーが見つからなければ、ビーフンで代わりが効く。ただし日本で売られているビーフンには、米粉にコーンスターチなどを混ぜたものもある。食感を本場に寄せたいなら、袋の裏の原材料が「米」と「水」だけのものを選ぶ。
乾麺の戻し方で食感が決まる
タイの米麺は、日本では乾麺で買うことがほとんどになる。ここで失敗すると、どの麺を選んでも同じ結果になる。
ゆでるのではなく、水かぬるま湯に浸けて戻す。 これが基本だ。
- 麺をたっぷりの水に浸ける。センミーとセンレックは20〜30分、センチャンと乾麺のセンヤイは40分〜1時間が目安
- 指でつまんで、芯が少し残る程度になったらザルに上げる
- 汁麺なら、食べる直前に熱湯に10〜20秒くぐらせる。炒め物なら、そのままフライパンへ
戻しが足りないと炒めても芯が残る。戻しすぎると炒めている途中で切れる。パッタイがフライパンの中で団子になるのは、だいたい戻しすぎか、麺を入れてからのタレが多すぎるかのどちらかだ。
時間がないときは、ぬるま湯(40℃くらい)を使うと半分ほどの時間で戻る。
タイの米麺は日本のどこで買える?
アジア食材店・輸入食材店
いちばん種類がそろうのは、タイやベトナムの食材を扱う専門店だ。センレック、センチャン、センミーの乾麺は定番で、店によっては生のセンヤイも置いている。
東京なら上野・御徒町や新大久保、錦糸町のあたりにタイ食材を扱う店が集まっている。地域ごとの店は別の記事にまとめた。
一般のスーパー・輸入食品店
大型スーパーのエスニック棚や輸入食品店では、パッタイのタレと麺がセットになったキットを見かけることがある。麺だけの袋は置いていない店も多い。
種類を選びたいなら、専門店か通販のほうが早い。
通販
近くに専門店がなければ通販になる。乾麺は日持ちがするので、何袋かまとめて買っても困らない。
→ ベトナムのフォー麺やビーフン、ナンプラーなど、アジアの麺と調味料を直輸入で扱う。タイ料理に使う香草(コブミカンの葉、ガランガル)の冷凍品もあり、麺と一緒にそろえられる
- 楽天市場
→ センレック・センチャン・幅広麺まで銘柄の数が多い。パッタイのキットも探しやすい
通販サイトの比較はタイ食材の通販サイトまとめで詳しく書いている。
タイの米麺が手に入らないときの代わり
センレックが切れていても、パッタイは作れる。KOKYO MARKET で扱っている麺のうち、代わりになるものを挙げておく。
フォー用の乾麺(センレック・センチャンの代わり)

ベトナムのフォー用の米麺。幅4mmで、センレックとセンチャンの中間くらい。汁麺にもパッタイにも使える。戻し方はタイの乾麺と同じでいい。
KOKYO MARKET で見る(1,900円) / 楽天市場で「VINAフォーライスヌードル」を探す
幅4mmは、タイの米麺でいえばセンレックとセンチャンのあいだ。クイッティアオ・ナームにもパッタイにもそのまま回せる。
ベトナムの米麺をもっと知りたい人はベトナムのフォー人気ランキングも参考になる。
台湾の新竹ビーフン(センミーの代わり)

台湾・新竹の細いビーフン。タイのセンミーと同じくらいの細さで、汁麺にも炒め物にも使える。
KOKYO MARKET で見る(1,300円) / 楽天市場で「台湾味一番新竹米粉ビーフン」を探す
センミー・パット(タイ風の焼きビーフン)や、汁麺の細麺として使える。
麺と一緒に買っておきたいナンプラー

タイの魚醤。クイッティアオのスープの味付けにも、パッタイのタレにも使う。700mlの大瓶。
KOKYO MARKET で見る(1,400円) / 楽天市場で「TIPAROS ティパロス ナンプラー」を探す
タイの米麺料理は、ほとんどがナンプラーで味を決める。汁麺なら鶏ガラスープにナンプラーを足すだけで、屋台に近い味に寄っていく。
ナンプラーの選び方はタイ料理に必須の調味料10選にまとめた。
まとめ:最初の1袋はセンレック
タイの米麺は、幅が細い順にセンミー、センレック、センチャン、センヤイ。
何を作るか決まっていないなら、センレックを1袋。汁麺にも炒め物にも使える。パッタイをきちんと作りたいならセンチャン、パッシーユやラートナーならセンヤイ。
専門店が近くになければ通販で十分そろう。タイの麺が見つからない日は、フォー麺やビーフンで代わりが効く。



