フィリピン料理のレシピを読むと、日本の台所にない調味料が2つ出てくる。パティスとバゴオンだ。
パティスは魚醤。バゴオンは小エビや小魚の塩辛。どちらも発酵の匂いがあり、日本のスーパーにはまず並ばない。
ただ、使いどころさえ分かれば難しい調味料ではない。何に入れるのか、どれくらい入れるのか、代わりは利くのか。日本で買える商品と一緒に整理した。
フィリピン料理の調味料は「酸・塩・甘」でできている
フィリピンの家庭料理は、驚くほど少ない種類の調味料で回っている。中心になるのは次の5つ。
| 調味料 | 現地名 | 担当する味 | 主な料理 |
|---|---|---|---|
| 魚醤 | パティス(patis) | 塩味とうま味 | ティノーラ、シニガン |
| 塩辛 | バゴオン(bagoong) | 強い塩味と発酵の香り | カレカレ、ビナゴオガン |
| 酢 | スーカ(suka) | 酸味 | アドボ、パクシウ |
| 醤油 | トヨ(toyo) | 塩味とコク | アドボ、パンシット |
| 柑橘 | カラマンシー | 香りのある酸味 | 仕上げ、つけだれ |
酢と醤油が土台で、パティスとバゴオンが「らしさ」を足す。前の2つは日本の物でも何とかなるが、後ろの2つは代わりが利きにくい。
この記事の主役がそこにある。
パティスとバゴオンは何が違うのか
ひと言でいえば、パティスは液体、バゴオンは身の残ったペーストだ。
小魚を塩に漬けて数か月置くと、発酵が進んで上に液体が浮いてくる。この上澄みがパティスで、下に残った身がバゴオン・イスダ(魚のバゴオン)になる。同じ仕込みから両方が取れる。
アミエビを塩で漬けたものはバゴオン・アラマンと呼ばれる。日本で「バゴオン」として瓶で売られているのは、ほとんどがこちらだ。
使い方もはっきり分かれる。パティスは鍋やフライパンに「溶かす」調味料。バゴオンは皿の脇に「添える」か、ご飯や青いマンゴーに「のせる」調味料だ。
パティスの使い方
汁物の塩はパティスで決める
パティスがいちばん活きるのはスープだ。
鶏肉と生姜を煮るティノーラは、塩の代わりにパティスで味をつける。4人分の鍋なら大さじ1から始めて、味を見ながら足す。塩だけで作るより、出汁を引いたような奥行きが出る。
酸っぱいスープのシニガンも、仕上げの塩気はパティス。鶏のおかゆアロスカルドでは、食べる直前に各自がパティスとカラマンシーをかける。
炒め物と麺に少し
野菜炒めや焼きビーフン(パンシット・ビホン)では、醤油と半々くらいで使うと香りが立つ。入れすぎると魚の匂いが前に出るので、小さじ1ずつ。
つけだれ「パティスマンシー」
焼いた魚や揚げた豚に添えるたれ。パティス1に対してカラマンシー(なければレモン)2、刻んだ唐辛子を少し。混ぜるだけだ。
ナンプラーで代用できるか
できる。パティスもタイのナンプラーも、魚と塩を発酵させた魚醤で、作り方の考え方は同じだ。レシピに「パティス」とあってナンプラーしか手元にないなら、同じ量で置き換えていい。
逆も成り立つ。ナンプラーの使い方はタイ料理に必須の調味料10選で詳しく書いている。ベトナムのヌクマムも同じ仲間で、ベトナムで人気の調味料10選に載せた。
ただ、銘柄ごとに塩の強さは違う。初めての1本は少なめに入れて、舌で合わせるのが確実だ。
銘柄で探すなら、ルフィナ(Rufina)と、酢で知られるダトゥプティ(Datu Puti)のパティスが日本の通販でも見つかりやすい。
バゴオンの使い方
生のバゴオンと、炒めたバゴオン
バゴオン・アラマンには2つの状態がある。
塩漬けのままの生のものは、ピンク色で塩気がとがっている。これをにんにく、砂糖、油で炒めたものが「ギニサン・バゴオン」。茶色くなり、甘じょっぱく、そのまま食べられる味になる。
日本で瓶詰めとして買えるのは、ほぼ後者だ。初めてならギニサンを選べばいい。
カレカレには欠かせない
牛テールや野菜をピーナッツソースで煮込むカレカレは、ソース自体がほとんど塩気を持っていない。そこへ各自がバゴオンを少しずつのせて、塩味を足しながら食べる。
バゴオンが無いと、甘く平板な煮込みで終わってしまう。カレカレを作るならこれだけは用意したい。
青いマンゴーにのせる
フィリピンのおやつの定番。熟す前の硬くて酸っぱいマンゴーを薄く切り、バゴオンをのせて食べる。酸味と塩気と甘さが一度に来る。
日本では青いマンゴーが手に入りにくいので、青リンゴや硬めのキウイで試す人もいる。
炒める・煮込む
豚バラをバゴオンで煮込んだビナゴオガンは、白いご飯が止まらなくなる料理。仕上げに酢を少し入れて重さを切る。
もっと手軽なのが、バゴオン炒飯。ご飯2杯にバゴオン小さじ2。塩は入れない。目玉焼きをのせればフィリピンの朝ごはんに近くなる。
辛口と普通、どちらを買うか
バリオフィエスタのギニサン・バゴオンには、唐辛子なしのレギュラーと、唐辛子入りのスパイシーがある。
カレカレやマンゴーに添えるならレギュラー。炒め物や炒飯に使うならスパイシーでも合う。迷ったらレギュラーから。

炒めて甘じょっぱく仕上げたバゴオン・アラマン。カレカレや青いマンゴーに添える定番。
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唐辛子入りの辛口。炒飯や炒め物の味付けに。
KOKYO MARKET で見る(1,800円) / 楽天市場で「バリオフィエスタ バゴオン スパイシー」を探す
代わりになる日本の食材は
ぴったり同じ物はない。生のバゴオン・アラマンに近いのは、韓国料理で使うアミの塩辛(セウジョッ)だ。にんにくと砂糖を加えて油で炒めれば、ギニサンらしい味に寄せられる。
とはいえ、香りの立ち方は別物になる。カレカレのように主役を張る料理なら、本物を1瓶買ったほうが早い。
開封後は冷蔵庫へ。少量ずつ使う調味料なので、清潔なスプーンで取り分ける。
一緒に揃えたいフィリピンの調味料
パティスとバゴオンだけでは、アドボもパンシットも作れない。土台になる調味料も押さえておく。
酢(スーカ)|ダトゥプティ
アドボの酸味はこれ。サトウキビが原料の酢で、日本の米酢より香りが穏やかだ。肉を酢と醤油で煮込むアドボは、この1本と醤油があれば作れる。

アドボやパクシウに使う、フィリピンの家庭で定番の酢。
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唐辛子やにんにくを漬け込んだ酢もある。揚げ物にかける「ピナクラット」がそれで、ココナッツの酢がベースになっている。

唐辛子と香味野菜を漬け込んだココナッツビネガー。揚げ物や焼き魚にかける。
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醤油(トヨ)|シルバースワン
フィリピンの醤油は、日本の濃口より塩気が強く、甘みは少ない。アドボを日本の醤油で作ると少し甘く感じるのはこのためだ。

アドボやパンシットに使う、フィリピンの家庭で定番の醤油。
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カラマンシーと、マギーのサボール
カラマンシーは小さな青い柑橘。生の実は日本では手に入りにくい。
代わりに使えるのが、マギーの「サボール カラマンシー」。醤油ベースにカラマンシーの酸味を合わせた液体調味料で、焼いた肉や揚げ物にそのままかける。

醤油ベースにカラマンシーの酸味を合わせた、かけるだけの調味料。
KOKYO MARKET で見る(2,600円) / 楽天市場で「サボール カラマンシー スモール シーズニング 130ml」を探す
同じマギーの「マジックサラップ」は、にんにくと玉ねぎの風味がついた顆粒調味料。日本の顆粒だしの立ち位置で、炒め物やスープにひと振りする。

にんにくと玉ねぎの風味をつけた顆粒の万能調味料。炒め物やスープにひと振り。
KOKYO MARKET で見る(1,800円) / 楽天市場で「マギー マジックサラップ 55g」を探す
バナナケチャップ
トマトではなくバナナで作った甘いケチャップ。フィリピン風スパゲッティやフライドチキンには、これが合う。UFCとジュフランが二大銘柄。
フィリピンの調味料はどこで買えるか
日本のスーパーではほぼ見かけない。選択肢は通販か、フィリピン食材店になる。
ネット通販
→ フィリピン食品の売り場があり、この記事で紹介したバゴオン2種、ダトゥプティの酢、シルバースワンの醤油、マギーのサボールとマジックサラップ、ピナクラットまで1か所で揃う。タイやインドネシアの調味料と一緒に頼めば、まとめ買いで送料を抑えやすい
- 楽天市場
→ パティスやバナナケチャップなど、KOKYO MARKETで扱いのない銘柄を探すときに。楽天ポイントが貯まる
KOKYO MARKET で買えるおすすめ商品
この記事で紹介した商品の多くは、輸入食品・お酒の通販サイト KOKYO MARKET で購入できます。中国・台湾・韓国・ベトナムの食材から海外のビール・ワインまで、日本ではなかなか手に入らない商品を直輸入で取り扱っています。

Datu Puti フィリピンビネガー 1L 1,500円
ホベ パンシット カントン 227g HOBE フィリピン産 2,600円
マギー サボール クラシック スモール 130ml Maggi Savor フィリピン産調味料 3,100円
マギー マジックサラップ 55g Maggi フィリピン料理 料理の素 1,800円
通販ごとの送料や品揃えの違いは、フィリピン食材が買えるネット通販で比べている。
フィリピン食材店
東京の赤羽や埼玉の戸田、大阪の島之内などには、サリサリストアと呼ばれるフィリピン食材の店がある。バゴオンの銘柄を棚で見比べられるのは店ならではだ。
場所はフィリピン食材が買えるスーパー・専門店まとめに地域別で載せている。
調味料のほかに麺や缶詰まで揃えたいなら、日本で買えるフィリピン食品・食材おすすめランキングから選ぶと、作れる料理の幅が一気に広がる。
まず買うなら、この2本
最初の1回でフィリピンの味に近づけたいなら、パティスとギニサン・バゴオンのレギュラー。
パティスはティノーラに、バゴオンは炒飯に。どちらも普段の材料に足すだけで試せる。そこで気に入ったら、ダトゥプティの酢とシルバースワンの醤油を買い足してアドボへ進めばいい。



