中華料理店で「中国のビールを」と頼むと、出てくるのはほぼ青島ビールです。日本で名前が通っている中国ビールは、実質この1本だけと言っていい。
ところが中国国内の事情はまるで違います。生産量で最も大きいのは雪花ビール。北京に行けば燕京、東北ならハルビン、広州なら珠江と、地域ごとに地元の顔があります。
ここでは有名な5ブランドの違いと、ラベルの中国語から分かる種類の見分け方を整理しました。青島ビール以外で日本でも手に入る銘柄と、その買える場所まで順に見ていきます。

中国ビールが「軽い」と言われる理由
中国ビールを初めて飲んだ人の感想で多いのが「薄い」「水みたい」です。これは造りの方向がもともと違うからです。
中国で広く飲まれている大衆向けのラガーは、米などの副原料を使い、苦味もコクも控えめに仕上げたものが中心です。麻辣の効いた四川料理や脂の多い炒め物と一緒に、何杯も飲む前提の味。ビール単体で味わうより、料理の脇に置いて口をリセットする役割が大きい。
飲み方も日本と少し違います。地方の食堂では冷やさずに常温で出てくることもあり、大瓶を何人かで分けてコップで飲むのが普通です。
もちろん、全部が軽いわけではありません。どの程度の濃さかはラベルを見れば見当がつきます。
中国ビールの種類はラベルの中国語で分かる
中国のビール売り場で缶を手に取ると、ブランド名の横に「纯生」「干啤」「冰啤」のような言葉が書かれています。これが種類を表しています。
特に目にすることが多いのが「纯生(チュンション)」です。熱処理をせずにろ過で酵母を取り除いた生ビールのことで、珠江ビールや青島ビールの看板商品にもこの名前が付いています。
もう一つ覚えておきたいのが「°P」という数字です。
中国のビールのラベルには、アルコール度数(酒精度)とは別に「原麦汁浓度 12°P」のような表記があります。これは発酵前の麦汁にどれだけエキスが溶けていたかを示す数字で、大きいほど味が濃くなる傾向です。日本の定番ラガーは11〜12°P前後が多く、中国の大衆向けには8°Pや10°Pのものも珍しくありません。
「薄い」と感じたら、この数字を見てみてください。12°Pと書いてあれば、日本のビールに近い飲みごたえが期待できます。
有名な中国ビール5ブランドの違い
中国のビールは全国ブランドと地方ブランドが入り混じっていますが、名前が知られているのは次の5つです。
年表にすると、はっきり2つのグループに分かれます。20世紀初頭に外国人の手で始まったハルビンと青島。改革開放後に生まれた燕京、珠江、雪花。後者が現在の中国のビール市場を大きく動かしています。
| 銘柄 | 創業 | 本拠地 | 現在の主な資本 | 味の方向 |
|---|---|---|---|---|
| ハルビンビール | 1900年 | 黒竜江省ハルビン | ABインベブ | すっきりしていて軽快 |
| 青島ビール | 1903年 | 山東省青島 | 青島ビール(中国) | 麦の香りと苦味のバランス型 |
| 燕京ビール | 1980年 | 北京 | 北京燕京ビール(中国) | 軽く、後味が短い |
| 珠江ビール | 1985年 | 広東省広州 | 広州珠江ビール(中国) | やわらかく、広東料理向き |
| 雪花ビール | 1994年 | 全国 | 華潤ビール(ハイネケンが出資) | 麦芽の甘さとまろやかさ |
雪花ビールの親会社には、2018年にオランダのハイネケンが40%を出資しました。ハルビンビールは2004年から世界最大手のABインベブの傘下です。中国の有名ビールも、裏側では世界の大手とつながっています。
青島ビール以外のおすすめ中国ビール5選
ここからは、青島ビールの次に試すならどれか、という視点で並べます。1〜4は、日本で手に入りやすい順です。
1. 雪花ビール

中国で生産量が最も多いビールブランド。華潤ビールが造っています。日本に入ってくる500ml缶と640ml瓶は麦汁濃度12°Pで、中国の大衆ビールの中では飲みごたえがあるほう。口当たりはほんのり甘く、まろやかです。火鍋や焼肉など、味の濃い料理と合わせたい。
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中国では「勇闯天涯(ヨンチュアンティエンヤー)」というシリーズも若い世代に知られています。日本で見かけるのは、ほとんどが定番の雪花です。
640mlの大瓶は、中国の食堂でテーブルに何本も並んでいるあのサイズです。何人かで分けて飲むとそれらしい雰囲気が出ます。
2. ハルビンビール
1900年創業、中国で最も古いビールブランド。ロシアとの縁が深い東北の街ハルビンで生まれました。すっきりとした軽快な飲み口で、苦味は控えめ。餃子や酸菜(中国東北の白菜の漬物)を使った料理によく合います。
日本では2020年から正規の輸入が始まり、公式の通販ショップもあります。330mlの小瓶と610mlの大瓶のほか、小麦を使った「小麦王」、アイスビールの「冰纯」も扱われています。
青島ビール以外では、日本で比較的手に入りやすい銘柄です。
3. 燕京ビール
1980年に北京で生まれた、北京ではおなじみのビール。度数は4.5%前後で、5本の中でも特に軽い味。後味がすっと引くので、北京ダックや羊肉のしゃぶしゃぶのような脂のある料理の合間に向いています。
北京の食堂で「啤酒」と頼むと、多くの場合これが出てきます。上位ラインの「燕京U8」は北京以外でも人気が広がっていますが、日本での取り扱いは少なめです。
4. 珠江ビール
1985年創業、広州のビール。青島・燕京と並んで中国の三大ビールに数えられることもあります。看板は「珠江纯生」という生ビール。苦味が弱く、やわらかい口当たりなので、点心や蒸し魚のような繊細な広東料理を邪魔しません。
日本では見つけにくい銘柄の一つです。広東系の食材店や通販で、在庫があるときに買っておくのが現実的です。
5. 青島ビール以外も試したい人の飲み比べセット
1本ずつ探すのが面倒なら、中国ビールを何本かまとめたセットから入る方法もあります。セットの中身は時期で変わるので、雪花やハルビンが入っているかを確認してから選んでください。
青島ビールも種類で選べる
「青島ビール以外」を探している人も、青島ビールには何種類かあることを知っておくと選択肢が広がります。
青島ビール(定番のラガー)

1903年、ドイツの醸造技術で山東省青島に生まれたビール。度数は4.7%。麦の香りとほどよい苦味のバランスがよく、中国ビールの中では日本のビールに近い味です。酢豚や回鍋肉のような、甘辛い中華の定番とよく合います。
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青島プレミアム

通常より長い時間をかけて発酵させた、青島ビールの上位ライン。度数4.5%、296mlの小ぶりな瓶。定番よりも口当たりがなめらかで、雑味の少ない味です。
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このほか日本には青島のIPAや黒ビール(スタウト)、小麦のビールも入ってきています。上の図の「黑啤」「小麦啤酒」にあたるものです。中国ビール=軽いラガー、という印象はこのあたりを飲むと変わります。
好みから1本を選ぶなら
有名どころだけでも銘柄は多く、全部を揃えるのは手間がかかります。好みで絞るとこうなります。
- 日本のビールに近い味がいい → 青島ビール。まずは基準の1本として
- 中国の食堂の雰囲気を家で出したい → 雪花ビールの640ml瓶
- 軽くてすっきりしたものがいい → ハルビンビール
- 脂の多い料理と合わせたい → 燕京ビール
- 点心や海鮮のようなやさしい味の料理に → 珠江ビール
- 中国ビールは薄い、という印象を変えたい → 青島のIPAや黒ビール
料理の側から選ぶ考え方もあります。
四川料理や火鍋のように辛さが強い料理には、麦の味がしっかりした雪花か青島。辛さに負けず、甘みが舌を落ち着かせてくれます。餃子や炒め物のような日常の中華なら、軽いハルビンか燕京を冷やして。広東料理や飲茶には、香りを邪魔しない珠江が向いています。
冷やし方で印象が変わるのも覚えておきたいところです。軽い銘柄ほど、ぬるくなると甘さや雑味が目立ちます。燕京やハルビンはしっかり冷やす。12°Pの雪花や青島プレミアムは、冷やしすぎないほうが麦の香りが分かりやすくなります。
中国ビールは日本のどこで買えるか
銘柄によって、手に入る場所がかなり違います。
KOKYO MARKET(輸入食品の通販)
青島ビールの瓶と、雪花ビールの缶・瓶を扱っています。雪花の640ml瓶のように、国内のスーパーではまず見かけない中国本土向けのサイズも買えるのが特徴です。中国の白酒や冷凍の点心、調味料も一緒に選べるので、家で中華の食卓を作るときにまとめて揃えられます。
KOKYO MARKET で買えるおすすめ商品
この記事で紹介した商品の多くは、輸入食品・お酒の通販サイト KOKYO MARKET で購入できます。中国・台湾・韓国・ベトナムの食材から海外のビール・ワインまで、日本ではなかなか手に入らない商品を直輸入で取り扱っています。

【中国本土の定番ビール】チンタオ 青島ビール 瓶 330ml 1,300円
【缶ビール】雪花ビール 500ml(缶) 3,000円
バドワイザー 瓶 330ml ワンウェイ瓶 海外輸入ビール アメリカビール 600円
コロナ・エキストラ・瓶ボトル330ml ABI 海外輸入ビール メキシコビール 700円
楽天市場
ハルビンビールと燕京ビールを探すならここです。ケースでの購入が中心ですが、ショップによっては1本から買えます。
中華食材店
池袋や横浜中華街、大阪の日本橋などにある中華食材店では、雪花や青島がビール棚に並んでいることが多いです。燕京や珠江は入荷が不定期で、あれば買い、という程度に考えておいたほうがいい。
通販サイトごとの品揃えや送料の違いは、中国産ビールが買えるおすすめネット通販5選で詳しく比べています。ショップ選びで迷ったら、そちらも合わせて見てください。
中国ビールと一緒に楽しみたいお酒
中国の食卓では、ビールは最初の一杯と料理の合間を担当します。乾杯の場面で出てくるのは白酒(バイジュウ)です。度数が50度を超えるものも多く、ビールとはまったく別物。どんな種類があるかは白酒とは?飲み方と日本で買えるおすすめ8選にまとめています。
紹興酒まで含めて中国のお酒を広く見たいなら、中国産の美味しいお酒ランキング10選から選ぶのが早いです。
お隣の台湾のビールは、同じ中華圏でも性格が違います。金牌やフルーツビールは台湾ビールのレビューと買える場所で紹介しています。雪花と台湾の金牌を1本ずつ用意して飲み比べると、大陸と台湾のビールの違いがよく分かります。



