タイ料理のレシピを開いて、材料表を上から見ていく。ナンプラー、オイスターソース、シーズニングソース、シーユーダム、パームシュガー。5行目あたりで手が止まる。
全部そろえると棚が一段埋まる。しかも半分くらいは、日本の調味料で済ませても味がそれほど変わらない。
厄介なのは残りの半分だ。醤油でも砂糖でも埋まらない調味料があり、それが抜けたままだと「家で作ったタイ料理」の味から抜け出せない。
日本で買えるタイの調味料を10本選び、代わりが効かないものから順に並べた。ナンプラーとナムプリックパオは、ブランド名より先に見るべき場所があるので、選び方も書いておく。
タイの調味料は「代わりが効くか」で選ぶ
順位の基準は1つに絞った。日本の台所にあるもので置き換えられるかどうかだ。
置き換えられないものほど上に来る。スイートチリソースは国産品がどこのスーパーにもあるので10位。ナムプリックパオは代わりになるものが見当たらないので2位。
×が付いた2本(ナムプリックパオとカレーペースト)は、輸入食品を扱う店か通販で買うしかない。△の4本は、代用すると味が別の料理に寄っていく。○と◎は家にあるものでまず作ってみて、タイ料理を続けるようなら買い足せば間に合う。
タイ料理に必須の調味料10選
1位 ナンプラー

カタクチイワシを塩に漬けて発酵させた、タイの魚醤。700mlの大瓶なので、タイ料理を週に1回以上作る家庭に向く。炒め物にもスープにも、ソムタムのような和え物にも使う。
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ガパオライス、トムヤムクン、ソムタム、パッタイ。どれもナンプラーを使う。1本目はこれで決まりで、迷うとすれば銘柄のほうだ。
国産の魚醤(いしる・しょっつる)でも近い味は出せる。ただ、置いている店が限られ、量のわりに値段が張る。
ナンプラーの選び方は、ボトルの裏から始まる。
日本で売られている食品は、原材料を使用量の多い順に書くことになっている。ナンプラーで見るのは、そこに「砂糖」があるかどうか。これだけでいい。
カタクチイワシと食塩だけのものは、塩気と魚の香りがまっすぐ出る。ソムタムや、刻んだ唐辛子を漬け込む卓上のプリックナンプラーに向く。
砂糖が入ったものは塩の角が丸い。スープに多めに入れても尖らないので、はじめての1本ならこちらが扱いやすい。
もう1つの判断材料が容量。開けてから時間がたつと色が濃くなり、香りも変わる。月に1〜2回しか作らないなら、200ml前後の小瓶を早めに使い切るほうがいい。
2位 ナムプリックパオ
乾燥唐辛子、エシャロット、にんにく、干しエビを油で炒め、パームシュガーやタマリンドと練り上げたタイのペースト。日本では「チリインオイル」「タイチリペースト」の名前で並んでいることが多い。瓶の上に油の層が浮いているのは普通の状態。
名前に「チリ」とあるが、口に入れて先に来るのは甘さとコクだ。
トムヤムクンに小さじ1杯溶かすと、スープが赤くなり、酸味の奥に甘い旨味が乗る。エビやイカの炒め物にも使うし、炊いたご飯に混ぜるだけでも一品になる。
日本の調味料では代わりが見つからない。豆板醤は塩辛さが勝ち、コチュジャンは甘さの質が違う。
ナムプリックパオを選ぶときに見るのは、甘さと油の量。
ここがメーカーによってかなり違う。原材料の先頭に砂糖が来ているものは、甘めの仕上がりになる。瓶を傾けたときに油の層が厚いものは、炒め物に使えば油を足さずに済み、スープに入れれば表面に赤い油が浮く。
油が少なく練り状に近いものは、ご飯に乗せたり野菜につけたりする食べ方に向く。
1瓶目は、通販でも扱いの多いメープラノムかパンタイから入るといい。使い切ったらもう一方を試す。並べると違いがはっきりつかめる。
開けたあとは冷蔵庫へ。取り出すときは、水気のない乾いたスプーンを使う。
3位 グリーンカレーペースト
青唐辛子、レモングラス、ガランガル、コブミカンの皮などをすり潰したペースト。ココナッツミルクで伸ばして煮れば、それだけでグリーンカレーの味の骨格ができる。2〜3人前で使うのは大さじ2〜3杯ほど。
日本のカレールウでは代わりにならない。ルウはとろみをつけるもの、ペーストはハーブの香りと辛さを足すもので、役割が違う。
余ったら1回分ずつ小分けにして冷凍しておくと、次に作るときに量る手間がない。
ペーストと対で要るのがココナッツミルクだ。

400mlでグリーンカレーが2〜3人前。レッドカレーやマッサマンカレーのペーストも同じ売り場に並んでいるので、2つ目はそちらを試してもいい。
4位 タマリンドペースト
マメ科の木になる、さやの中の果肉を水で溶いて漉したもの。梅干しに近い酸味と、プルーンのような甘みを両方持っている。瓶入りのペーストならスプーンですくうだけで使える。
パッタイの甘酸っぱさの芯はこれだ。パッタイのソースは、ざっくり言えばタマリンド、パームシュガー、ナンプラーの3つを合わせたものになる。酢とケチャップで作るレシピもあるが、仕上がりは甘酢あんかけのほうに寄っていく。
梅肉と黒酢と砂糖で近づけることはできる。ただ、タマリンドの酸味は加熱してもツンと立たず、果物の丸さが残る。
5位 シーズニングソース
大豆を原料にした、タイの調味用ソース。緑のラベルのボトルが目印で、タイでは目玉焼きやオムレツ、チャーハンに卓上でかけて使う。醤油より旨味が濃く、少量で味が決まる。
醤油に近いが、ガパオライスを醤油だけで作ると、どこか和風の炒め物になる。
ナンプラーが魚の旨味を足す係なら、こちらは大豆の旨味を足す係。ガパオライスのレシピには、この2本を両方使うものが多い。
6位 シーユーダム(黒醤油)
糖蜜を加えた、黒くとろみのある甘い醤油。塩気は控えめで、料理に色とコクと甘さをつけるのに使う。
パッシーユー(幅広の米麺の醤油炒め)の、あの黒い色はこれでつく。豚足の煮込みカオカームーにも欠かせない。
たまり醤油に砂糖を足すと、色だけは近づく。糖蜜の香りまでは出ないので、パッシーユーを作ると「甘めの焼きそば」くらいの距離が残る。
7位 パームシュガー

ヤシの樹液を煮詰めて固めた砂糖。黒糖ほど癖は強くなく、上白糖よりはっきりしたコクがある。固まっているので、包丁で削るか、少量のお湯で溶かしてから使う。
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パッタイやソムタム、グリーンカレーの甘みは、本来これでつける。
きび砂糖や黒糖で代わりはつとまる。7位にしたのはそのためで、ナンプラーとタマリンドをそろえてから買い足せば十分だ。
8位 オイスターソース(タイ産)
ガパオライスや空心菜の炒め物(パックブンファイデーン)に使う。タイのブランドなら、メークルアが日本の通販でも見つかる。
中華のオイスターソースが家にあるなら、まずそれで作ってかまわない。代わりが効く部類なので8位に置いた。中華料理の調味料と棚を共有したい人は、中国で人気の調味料14選も見ておくと重複して買わずに済む。
9位 シラチャーソース
タイ東部の町シーラチャーの名を持つチリソース。赤唐辛子、にんにく、酢、砂糖で作られていて、辛さのあとに甘酸っぱさが来る。オムレツや揚げ物、焼いた魚介に添えて使う。
シラチャーと聞くと、アメリカ製の鶏のマークが入ったボトルを思い浮かべる人もいるだろう。あちらはとろみが強く、にんにくが前に出る。タイのシーラチャーパニッチはさらりとしていて、甘みがはっきりしている。
10位 スイートチリソース
生春巻き、鶏の唐揚げ、揚げ春巻き。タイでは焼いた鶏肉(ガイヤーン)につけるタレとしても使われ、ナムチムガイとも呼ばれる。
国産のものがスーパーで普通に買えるので、10位にした。タイ料理店で出てくる味に寄せたいなら、メープロイのようなタイ産を選ぶといい。
甘さと塩気で見る10本の立ち位置
10本を味の方向で並べ直すと、役割の重なりが見えてくる。
左上に集まっているのが、塩気と旨味を足す係。ナンプラー、シーズニングソース、カレーペーストがここにいる。右下は甘さの係で、パームシュガーとスイートチリソースが並ぶ。
家で作ったタイ料理の味が決まらないとき、抜けているのはたいてい下半分だ。塩気の強いものばかりで作ると、しょっぱいだけの炒め物になる。
ナムプリックパオは右寄りのやや下にいる。甘さと辛さに、少しの塩気。1瓶でまとめて足せるので、何か足りないと感じたら小さじ半分入れてみるといい。
作りたい料理から逆算する
10本を一度にそろえなくても、作る料理が決まっていれば必要な本数は絞れる。
| 料理 | 使う調味料 | 本数 |
|---|---|---|
| ガパオライス | ナンプラー、オイスターソース、シーズニングソース、パームシュガー | 4 |
| パッタイ | タマリンドペースト、パームシュガー、ナンプラー | 3 |
| トムヤムクン | ナムプリックパオ、ナンプラー | 2 |
| グリーンカレー | グリーンカレーペースト、ナンプラー、パームシュガー | 3 |
| パッシーユー | シーユーダム、シーズニングソース、オイスターソース | 3 |
ナンプラーは5品のうち4品に入る。1本目がナンプラーになる理由はこれで、2本目は作りたい料理で選べばいい。
トムヤムクンは調味料が2本で済むぶん、レモングラスやコブミカンの葉、ガランガルといったハーブが要る。グリーンカレーにはココナッツミルクが別に必要だ。
タイの調味料はどこで買えるか
ナンプラーとスイートチリソースは、大きめのスーパーや輸入食品店で見つかることが多い。オイスターソースも、中華のものならどこにでもある。
手に入りにくいのは、代用の図で×と△が付いた側だ。ナムプリックパオ、シーユーダム、タマリンドペースト。このあたりは近所の棚を探し回るより、通販でまとめて買ったほうが早い。
- KOKYO MARKET:ナンプラー(ティパロス700ml)、パームシュガー、タイ産ココナッツミルクを扱っている。冷凍のコブミカンの葉やレモングラス、ガランガルもあるので、トムヤムクンに要るハーブを調味料と同じサイトで探せる
- 楽天市場:ナムプリックパオやシーユーダムのように、ブランドを指定して探したい調味料が見つけやすい。楽天ポイントを貯めている人向け
- タイ食材の専門店:生のハーブや、通販にあまり出てこない銘柄が並んでいることがある
KOKYO MARKET で扱っているタイの調味料と食材は、このあたりになる。
KOKYO MARKET で買えるおすすめ商品
この記事で紹介した商品の多くは、輸入食品・お酒の通販サイト KOKYO MARKET で購入できます。中国・台湾・韓国・ベトナムの食材から海外のビール・ワインまで、日本ではなかなか手に入らない商品を直輸入で取り扱っています。

SARIRAYA 冷凍コブミカンの葉 100g – タイ料理に欠かせない爽やかな香り 12,350円
Sariraya パームシュガー 300g – ヤシの樹液から生まれた天然甘味料 / Sariraya Palm Sugar 300g 1,450円
Natural Bloom ナチュラルブルーム ココナッツミルク 400ml タイ産 1,300円
TIPAROS ティパロス ナンプラー フィッシュソース 700ml 1,000円
実店舗を回るなら、東京でタイ食材が買えるスーパー・専門店10選に、どの店で何が強いかを駅からの距離つきで載せている。調味料以外の麺やハーブ、飲み物まで広げて見たい人は日本で買えるタイ食品・食材おすすめランキングTOP20へ。
よくある質問
ナムプリックパオはどのくらい辛いですか
赤い見た目ほどは辛くないものが多い。唐辛子が主役に見えるが、材料には砂糖やエシャロット、にんにくも多く入っていて、甘さとコクが先に来るからだ。ただし辛さはメーカーでかなり差がある。初めての瓶は小さじ半分から入れて様子を見るのが安全だ。
ナンプラーとベトナムのヌクマムは同じものですか
どちらもカタクチイワシなどの魚を塩で発酵させた魚醤で、料理の中では置き換えがきく。ベトナム側の調味料は本場ベトナムで人気の調味料10選に並べてある。
最初に買うなら何本あればいいですか
ナンプラー1本と、作りたい料理に合わせたもう1本。トムヤムクンならナムプリックパオ、パッタイならタマリンドペースト、グリーンカレーならカレーペースト。2本あれば1品は作れるので、そこから1本ずつ棚を広げていくと、使わない瓶が冷蔵庫に残らない。



