塩とライムを添えてショットで一気に、という飲み方の印象が強いお酒です。若いころの記憶がそのままになっている人も多い。
ところが酒販店の棚に並ぶ瓶は、透明のものから琥珀色のものまで色が違います。値段も1,500円台から1万円超まで開いている。同じ「テキーラ」の棚なのに、中身は別の飲み物と言っていいくらい違います。
分けている基準は2つだけです。順番に見ていけば、棚の前で迷わなくなります。

テキーラと名乗れる酒の条件
まず前提から。テキーラは産地と原料が法律で決まっているお酒です。
メキシコの規格 NOM-006-SCFI-2012 が定義していて、条件を満たさないものはテキーラと呼べません。作れる場所はハリスコ州の全域と、グアナファト・ミチョアカン・ナヤリット・タマウリパスの4州の一部。この5州に限られます。
原料はアガベ・アスール・テキラーナ・ウェーバー(ブルーアガベ)という1品種。サボテンから造ると書かれることがありますが、アガベはリュウゼツラン科の多肉植物で、サボテンではありません。
度数の法定範囲は35〜55度。ただし日本に入ってくるものはほぼ40度前後に収まっています。
瓶の裏には必ずNOM番号という4桁の数字が入っています。どの蒸留所が造ったかを示す番号で、有名銘柄でも同じ番号を共有していることがある。飲み比べて気に入った瓶があったら、この数字を控えておくと同じ蒸留所の別の瓶にたどり着けます。
種類を分ける軸は2つ
「テキーラの種類」で検索すると、ブランコ・レポサド・アネホの3つが並ぶ解説が出てきます。これは熟成期間による区分で、半分だけ正しい。
もう半分がアガベ由来の糖分をどれだけ使っているかです。こちらのほうが味と価格への影響は大きいのに、熟成の話に隠れて省かれがちなところ。
熟成の軸から片付けます。
熟成で分かれる5つのクラス
ブランコ(シルバー/プラタ)
樽熟成が2ヶ月未満のもの。透明で、アガベの青っぽい香りとわずかな土の匂いがそのまま残ります。
胡椒のようなピリッとした刺激が舌に来るのがこのクラスの持ち味です。角は立っていますが、テキーラという酒の素の味を知るにはここから。マルガリータやパロマのようなカクテルで使われるのもブランコです。
ホベン(オロ/ゴールド)
金色をしていますが、樽で熟成させた色ではありません。 ブランコに熟成テキーラをブレンドしたか、カラメルなどで着色したもの。
レポサドと色が似ているので同じものだと思われがちですが、中身の作り方は別です。安価なゴールドは後者であることが多い。安いからだめということではなく、カクテルの土台として作られている、という理解が正確です。
レポサド
スペイン語で「休ませた」という意味。樽で2ヶ月以上1年未満寝かせたものがここに入ります。
日本の酒販店でいちばん見かけるクラスです。淡い黄金色になり、バニラやキャラメルのような甘い香りが少しだけ乗る。ブランコのとがった部分が丸くなって、ストレートでも飲めるようになるのがこの段階です。
樽のサイズに規定がないので、大樽で寝かせたものと小樽で寝かせたものでは、同じレポサドでも香りの付き方がかなり違います。
アネホ
1年以上3年未満の熟成。ここからは600リットル以下の樽という縛りが加わります。
樽が小さいほど中身が木に触れる面積の比率が上がるので、香りの移りが強くなる。色は琥珀色まで濃くなり、口当たりはとろりとします。バーボンの空き樽を使うことが多く、その影響で蜂蜜やドライフルーツのような甘い香りが出ます。
この段階になると、アガベ由来のあの青い香りはかなり奥に引っ込みます。ウイスキーだと言われて出されたら気づかない人もいるはずです。
エクストラアネホ
3年以上の熟成。2006年に正式なクラスとして追加された、比較的新しい区分です。
濃い琥珀色で、価格は1万円を超えるものが中心。テキーラを「割って飲む酒」だと思っている人の認識を壊しにくるカテゴリで、実際グラスに注いで香りだけ嗅いでいても時間が過ぎます。
クリスタリーノという新しい枠
2016年にテキーラ規制委員会が公認した区分です。熟成させたテキーラを活性炭で濾して、樽の色だけを抜いて透明に戻したもの。
見た目はブランコ、味はアネホ寄り。着色していないゴールドの逆をやっているような作りで、日本でも輸入銘柄が増えてきています。
もう一つの軸:100%アガベかどうか
ここが棚の前で効く話です。
発酵させる糖分がすべてブルーアガベ由来のものが100%アガベテキーラ。ラベルに `100% de Agave` と書いてあります。
対して、アガベ由来の糖分が51%以上あれば、残りはサトウキビなどの他の糖で補ってよい、という規格もある。こちらは以前「ミクスト」と呼ばれていたもので、ラベルには単に `Tequila` としか書かれません。表記が無いほうがミクストだと思って間違いありません。
味の差は、アガベの香りがどれだけ残っているかに出ます。100%アガベは甘い植物の香りがはっきりあり、ミクストは軽くてクセが少ない。実勢価格はミクストが1,500〜2,800円あたり、100%アガベは3,000円台からになります。
どちらが上という話ではありません。マルガリータを作るならミクストのブランコで十分だし、ストレートで香りを見るなら100%アガベでないと確かめるものがない。目的で選ぶところです。
ブランコ・レポサド・アネホを飲み比べる
3本を同時に開けると、熟成で何が起きているのかが一度で分かります。
| クラス | 熟成期間 | 色 | 香りの方向 | 実勢価格の目安 |
|---|---|---|---|---|
| ブランコ | 2ヶ月未満 | 無色透明 | 青いアガベ、胡椒、土 | 1,500〜3,500円 |
| ホベン(ゴールド) | 規定なし(ブレンド/着色) | 淡い金色 | 甘く軽い | 1,500〜2,800円 |
| レポサド | 2ヶ月〜1年未満 | 淡い黄金色 | バニラ、樽の甘み | 2,500〜5,000円 |
| アネホ | 1〜3年未満 | 琥珀色 | 蜂蜜、ドライフルーツ | 4,000〜9,000円 |
| エクストラアネホ | 3年以上 | 濃い琥珀色 | チョコレート、樽香 | 10,000円〜 |
順番はブランコから。 先にアネホを飲むと、舌が甘い香りに慣れてブランコの青さを刺激としか受け取れなくなります。軽いほうから重いほうへ。ウイスキーの飲み比べと同じ順序です。
グラスは背の高いショットグラスより、ワイングラスかテイスティンググラスのほうが香りを拾えます。常温で。冷やすと香りが閉じるので、違いを見たい日は冷蔵庫から出しておきます。
塩とライムは、本場でこの飲み方をするのはミクストの安いテキーラを飲むときが中心です。100%アガベの瓶を開けたなら、まず何も足さずに口に含んでみてください。
飲み方はクラスで変わる
ブランコ・ゴールド → カクテル
マルガリータ、テキーラサンライズ、パロマ。混ぜて飲むなら香りの主張が弱いほうが扱いやすいので、この帯で足ります。パロマはグレープフルーツソーダで割るだけなので家でも作れます。
レポサド → ロック、ソーダ割り
樽の甘みが出ているぶん、氷で薄まっても味が残ります。テキーラハイボールにするならここ。
アネホ以上 → ストレート
常温で少量ずつ。水を一滴落とすと香りが開くのもウイスキーと同じです。割るには香りが勿体ない。
食べ合わせでは、タコスやサルサのような酸と辛みのあるものが合います。サルサソースおすすめ10選で市販品の辛さを比較しているので、つまみを揃えたい人はそちらを。タコスの材料はどこで買える?もあわせてどうぞ。
メスカルとどう違うのか
同じメキシコの蒸留酒で、混同されやすいところです。
メスカルはアガベから造る蒸留酒の総称で、使えるアガベの品種が30種類以上あります。テキーラはそのうちブルーアガベ1品種だけを使い、産地も5州に限定したもの。テキーラはメスカルの一種という関係です。
味の差は製法から来ます。メスカルはアガベを石窯で焼くことが多く、燻したようなスモーキーな香りが付きます。テキーラは蒸し窯を使うので、その香りは出ません。芋虫が瓶に入っているのはメスカルのほうで、テキーラではありません。
日本ではどこで買えるか
置いている場所によって、出会えるクラスが違います。
スーパー・コンビニ
クエルボのゴールドとシルバー、サウザあたり。ミクストのブランコとゴールドが中心で、レポサドまで置いてある店は限られます。
大型の酒販店
やまややリカーマウンテンのような専門店なら、100%アガベのレポサドやアネホまで並びます。オルメカ、エラドゥーラ、ドン フリオなどが見つかる棚です。
輸入食品の通販
クリスタリーノや、日本の店頭にあまり出ない銘柄はこちら。飲み比べのために3本まとめて買うなら、送料の面でも通販のほうが早い。
→ メキシコのテキーラとビールを直輸入で取り扱い。コロナやテカテも同じ店でまとめられる
- 楽天市場
→ 100%アガベの銘柄まで幅が広い。飲み比べセットの取り扱いもある
KOKYO MARKET で買えるおすすめ商品
この記事で紹介した商品の多くは、輸入食品・お酒の通販サイト KOKYO MARKET で購入できます。中国・台湾・韓国・ベトナムの食材から海外のビール・ワインまで、日本ではなかなか手に入らない商品を直輸入で取り扱っています。

クエルボテキーラ エスペシャル ゴールド 750ml メキシコテキーラ 2,790円
テカテ 355ml 瓶ビール メキシコ産ビール 1,200円
コロナ・エキストラ・瓶ボトル330ml ABI 海外輸入ビール メキシコビール 700円
IEP ソルビール 330ML 2,900円
通販サイトごとの品揃えと送料の違いは輸入酒が買えるネット通販10選で比較しました。
現地やメキシコ土産で
現地で買えば日本の半額以下になる銘柄もありますが、機内持ち込みと預け入れのルールに引っかかります。条件は海外のお酒はお土産で持ち帰れる?にまとめています。
最初の1本をどう選ぶか
カクテルを作るのが目的なら、ミクストのゴールドかブランコから。2,000円台で買えて、マルガリータにもテキーラサンライズにも使えます。

メキシコのミクストテキーラ。ゴールドの定番で、カクテルの土台に使いやすい750ml。
KOKYO MARKET で見る(2,790円) / 楽天市場で「クエルボテキーラ エスペシャル」を探す
テキーラという酒の素の味を知りたいなら、100%アガベのブランコ。3,000円台から選べて、アガベの青い香りがそのまま出ます。ここを飲んでおくと、レポサドやアネホで樽が何を足しているのかが分かるようになります。
ストレートで飲む1本が欲しいなら、100%アガベのレポサドを1本。そこから甘みが欲しくなったらアネホへ進みます。
透明な蒸留酒の飲み比べを続けたい人は、ウォッカの種類一覧とジンの種類一覧も同じ形で整理しています。国別に海外の酒を見渡したいなら【国別】海外のお酒おすすめ30選が早いはずです。



