台湾の宴席で、小さなグラスに注がれて何度も乾杯に使われる透明な酒。それが金門高粱酒(きんもんこうりゃんしゅ)です。
度数は58度。台湾土産でもらったものの、強すぎてどう飲めばいいか分からず棚に置いたまま、という話はよく聞きます。どんな酒なのかを押さえておくと、持て余さずに済みます。
金門高粱酒とは
金門高粱酒は、台湾の金門島で造られる蒸留酒です。原料は高粱(こうりゃん)というイネ科の穀物。中国の白酒(パイチュウ)と同じ系統に入ります。
金門島は台湾本島から台湾海峡を隔てて遠く離れ、むしろ中国福建省の廈門(アモイ)の目の前にあります。台湾が統治する島のなかで、大陸に最も近い場所のひとつです。
造っているのは金門県が出資する金門酒廠実業。「金門高粱酒」の名前で売られているのは、この酒造所の製品です。
軍の島で生まれた酒
始まりは1952年。当時、金門島には国民党軍が大規模に駐留していました。防衛司令官だった胡璉(こ・れん)が、地元で造られていた高粱酒を気に入り、軍の財源にしようと酒造所を立ち上げたのが原点とされています。
高粱は乾燥に強く、痩せた土地でも育ちます。雨の少ない金門島に向いた作物でした。
酒造所はいまも島の大きな収入源です。2011年の台湾政府系メディアの報道では、年間4,000万本以上を売り、県に納める税は49億台湾ドルに達していました。島の暮らしを支える産業になっています。
度数と種類
いちばん知られているのは58度のボトルです。白いラベルで、台湾では「白金龍」の愛称でも呼ばれます。飲みやすさを優先した38度もあり、この2つが定番です。
| 種類 | 度数 | 容量 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 金門高粱酒 58度 | 58度 | 300ml/600ml/750ml | 定番中の定番。穀物の香りが濃い |
| 金門高粱酒 38度 | 38度 | 300ml/600ml/750ml | 刺激が穏やかで、はじめての人向け |
| 陳年(熟成)高粱酒 | 56度前後 | 銘柄による | 長く寝かせて角を取ったもの |
58度はウイスキーやウォッカ(40度前後)よりずっと強い。数字だけ見ると怖くなりますが、飲み方で印象はかなり変わります。
日本に入ってきているのは、ほとんどが58度と38度の300ml・600mlです。熟成品や陶器の瓶に入った贈答用は、日本ではほぼ見かけません。
どんな味か
香りは驚くほど華やかです。台湾では「泉のように澄み、蘭のように香る」と表現されます。穀物の甘い香りに、果物を思わせる香りが重なります。
58度は、口に含んだ瞬間にアルコールの刺激が舌を刺します。そのあと鼻に甘さが抜け、後味は意外なほどすっきり。雑味が少なく、飲み込んだあとに穀物の香ばしさが長く残ります。
38度は刺激がぐっと減ります。そのぶん甘さと果実のような香りが前に出て、軽い印象です。
白酒には香りのタイプによる分類があります。金門高粱酒はクセの少ない「清香型」に近いとされ、中国の貴州茅台のような醤油を思わせる濃い香りはありません。白酒は匂いが苦手、という人でも入りやすい部類です。
白酒全体の種類や分類は中国酒「白酒(バイジュウ)」とは?飲み方は?日本で買える白酒おすすめ8選で詳しく整理しています。
原料と造り方
原料は高粱と、麹をつくるための小麦。仕込み水には、金門島の花崗岩の下から汲み上げた地下水が使われます。
発酵は「固態発酵」で行います。穀物を液体に浸すのではなく、蒸した高粱に麹を混ぜ、固形のまま発酵させる白酒の伝統的な方法です。手間がかかり、取れる酒の量も少なくなります。
発酵と蒸留を重ねたあと、ステンレスのタンクや陶器の甕で寝かせて味を落ち着かせます。最後に職人が複数の原酒を合わせて味を整え、瓶に詰めます。仕込みから出荷まで2か月以上。
熟成品のなかには、戦時中に掘られた島の坑道で寝かせたものもあります。軍の島ならではの話です。
おいしい飲み方
台湾ではストレートが基本です。小さなショットグラスに注ぎ、乾杯のたびに一口ずつ飲みます。一気に飲み干す必要はありません。
冷凍庫で冷やす
58度なら家庭の冷凍庫に入れても凍りません。キンキンに冷やすと、とろりとした口当たりになり、刺激が和らぎます。はじめての人にまず試してほしい飲み方です。
ロック
大きめの氷を1つ。溶けるにつれて度数が下がり、香りの変化も楽しめます。
ソーダ割り・ジュース割り
強さが気になるなら割って構いません。58度をソーダで6倍に割ると、10度弱。ハイボールより少し強いくらいです。香りの強い酒なので、果汁の多いジュースで割っても負けません。
合わせる料理
脂のある料理と相性がいい。台湾ソーセージ、ルーローハン、からすみ、焼き肉。58度の強さが脂をすっと流してくれます。
家で台湾料理と合わせるなら、台湾のお酒で家飲み。台湾料理のおつまみ5選が参考になります。
58度と38度、どちらを選ぶか
迷ったら、飲み方で決めるのが早いです。
ストレートや冷凍庫で冷やして飲むつもりなら58度。金門高粱酒らしい穀物の香りがいちばん濃く出るのはこちらで、台湾の人が「金門高粱」と言えばまずこの白ラベルを指します。割ってもしっかり香りが残ります。
38度は、強い蒸留酒をほとんど飲まない人向けです。ロックや炭酸割りにすると、食事中でも気軽に飲めます。ただ、58度に慣れた人には物足りなく感じるかもしれません。
贈り物なら58度を選ぶ人が多い。300mlの小瓶なら、相手が飲み切れずに持て余す心配も減ります。
日本ではどこで買えるか
普通のスーパーやコンビニにはまず置いていません。探すなら次の3か所です。
楽天市場・通販
いちばん確実なのが通販です。58度と38度の300mlは、台湾食品を扱う専門店がよく出品しています。まとめ買いの箱売りもあります。
定番の白ラベル。まず1本買うならこれ。300mlなら飲み切りやすい。
刺激が控えめで香りが軽い。強いお酒に慣れていない人向け。
台湾物産店・中華食材店
池袋や横浜中華街など、台湾・中国の食材店では棚に並んでいることがあります。1本から実物を見て買えるのが利点。東京の店は池袋にある台湾食品が買える台湾物産店にまとめています。
コストコ
コストコでは58度の600mlを扱っていた実績があります。ただし常時置いている商品ではなく、店舗や時期で在庫が変わります。
台湾で買って持ち帰る
旅行のついでに買うなら、台湾のスーパーや空港の免税店が品揃えは豊富です。58度の酒は、預け荷物なら1人5リットルまで飛行機に積めます。日本に持ち込むときの免税は1本760ml程度で3本まで。詳しくは海外のお酒はお土産で持ち帰れる?飛行機の持ち込み・免税ルールを見てください。
金門高粱酒の代わりに試せる高粱のお酒
金門高粱酒は、KOKYO MARKET では現在取り扱いがありません。
同じ高粱を使った台湾・中国の白酒なら、KOKYO MARKETで直輸入品を買えます。台湾の紹興酒やビールと一緒に注文すれば、送料もまとめられます。
玉山 茅台酒(台湾・54度)

台湾の国営酒造TTL(台湾菸酒)が造る、高粱と小麦の白酒。白い磁器の瓶に入っていて、贈り物にも向きます。金門高粱酒と同じ台湾の白酒を飲み比べたい人に。
KOKYO MARKET で見る(3,800円) / 楽天市場で「玉山 茅台酒」を探す
金星牌 高粮酒(中国・52度)

中国の清香型白酒。金門高粱酒と同じくクセの少ない香りの系統で、価格も手ごろ。
KOKYO MARKET で見る(1,500円) / 楽天市場で「金星牌 高粮酒」を探す
江小白 ジャンシャオバイ(中国・40度)

100mlの小瓶に入った高粱酒。40度でフルーティー。ソーダ割りにしやすく、白酒の入口にちょうどいい。
KOKYO MARKET で見る(900円) / 楽天市場で「江小白」を探す
台湾のお酒をビールや紹興酒まで含めて比べたいなら、日本で買える台湾産の美味しいお酒ランキング10選に一覧があります。
飲むときの注意
58度は、日本酒(15度前後)の4倍近い度数です。ストレートなら一口を小さく。チェイサーの水を横に置いておくと、飲みすぎを防げます。
開栓後も、蒸留酒なので中身が傷むことはほとんどありません。キャップをしっかり閉め、直射日光の当たらない場所に立てて置けば十分です。
20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。



