日本の大手4社のビールを並べて飲むと、違いはあるのに「どれもビールの味」に収まっている。ところが海外ビールの棚に行くと、白く濁ったもの、真っ黒なもの、バナナのような香りのものまで並んでいる。
同じ「ビール」なのに、なぜここまで幅が違うのか。
理由は国民性ではない。日本の大手ビールのほとんどが「ピルスナー」という1つのスタイルに集中しているからだ。海外にもピルスナーはあるが、それ以外のスタイルも同じくらい普通に飲まれている。
この前提を押さえたうえで、原料・発酵・度数・温度の4つから違いを見ていく。
海外ビールと日本のビールの違いは4つ
先に結論をまとめておく。
| 日本の大手ビール | 海外ビール | |
|---|---|---|
| スタイル | ほぼピルスナー(ラガー) | ラガーとエールの両方。国ごとに主流が違う |
| 原料 | 麦芽100%と、米・コーンを使うものに分かれる | ドイツは麦芽・ホップ・水・酵母のみが伝統。ベルギーは果皮や香辛料も使う |
| アルコール度数 | 5.0〜5.5%にほぼ集中 | 4%台から9%超まで幅がある |
| 飲む温度 | よく冷やす(4〜6℃前後) | エール系は10℃以上で香りを立たせるものも多い |
日本のビールに個性がない、という話ではない。選ばれている範囲が狭いので、海外の棚と比べると幅が小さく見える。
違い1:発酵の仕方とスタイル
ビールは酵母の種類で大きく2つに分かれる。
- 下面発酵(ラガー):10℃前後の低温でゆっくり発酵させる。すっきりしてキレがある
- 上面発酵(エール):20℃前後の常温で短期間に発酵させる。果実のような香りが出やすい
ピルスナーは1842年にチェコのプルゼニで生まれた、淡い金色のラガーだ。日本のビール会社は明治期にドイツから技術を入れ、その後ずっとこの系統を主力にしてきた。アサヒ スーパードライ、キリン 一番搾り、サッポロ 黒ラベル、サントリー ザ・プレミアム・モルツ。どれもピルスナー系のラガーにあたる。
海外では事情が違う。
イギリスやアイルランドはエールとスタウトの国。ベルギーは修道院ビールや白ビールなど、エール系のスタイルが山ほどある。アメリカのクラフトビールはホップを効かせたIPAが看板だ。ドイツやチェコはラガーが主流でも、小麦を使う白ビール(ヴァイツェン)や黒ビールが普通に並ぶ。
「海外ビールは味が濃い」「香りが強い」と感じるのは、たいていエール系を飲んだときだ。海外のピルスナー、たとえばハイネケンやイェーヴァーを飲めば、日本のビールとの差はぐっと縮まる。
ピルスナー発祥の国の銘柄はチェコビールおすすめ8選で紹介している。
違い2:原料と「ビール」の定義
日本は麦芽50%以上なら「ビール」
日本の酒税法では、麦芽の比率が50%以上で、決められた副原料だけを使ったものが「ビール」になる。副原料として認められているのは米・とうもろこし・でんぷんなどで、2018年4月の改正からは果実やコリアンダーなどの香辛料も一定量まで使えるようになった。
大手の看板銘柄でも、ここは分かれる。
- 麦芽100%:キリン 一番搾り、サントリー ザ・プレミアム・モルツ
- 米・コーン・スターチを使う:アサヒ スーパードライ、サッポロ 黒ラベル
米やコーンを使うと、麦の味が軽くなって後味がすっきりする。スーパードライの「辛口」はこの設計によるところが大きい。
ドイツは麦芽・ホップ・水・酵母だけ
ドイツには1516年にバイエルンで出された「ビール純粋令」の伝統がある。ビールの原料を麦芽・ホップ・水・酵母に限るという決まりで、今もこれを守ることを売りにする醸造所が多い。
ベルギーは何でも入れる
反対の極にいるのがベルギーだ。白ビールにはオレンジの皮とコリアンダーが入り、修道院ビールには糖分を足して度数を上げるものもある。ヒューガルデン ホワイトのような銘柄が、かつて日本では「発泡酒」の表示で売られていたのはこのためだ。2018年の改正で副原料の範囲が広がり、ビールとして扱える銘柄が増えた。
輸入ビールの缶や瓶の裏にある「品目」の欄を見ると、同じ海外ビールでも「ビール」「発泡酒」と表示が分かれている。2026年10月に酒税が一本化された今も、表示の区分そのものは残っている。税金の変化は輸入ビールはなぜ安い?に詳しく書いた。
違い3:アルコール度数
日本の大手ビールは度数がほぼそろっている。看板銘柄はどれも5.0〜5.5%。
海外ビールは幅が広い。軽いものは4%台、ベルギーの修道院ビールには8〜9%を超えるものが珍しくない。
度数が倍近いビールを、日本のビールと同じペースで飲むと酔い方が全然違う。ベルギービールを初めて飲む人は、ラベルの度数を一度確認しておくといい。
度数の高いお酒全体の比較は海外のお酒アルコール度数ランキングにまとめてある。
違い4:飲む温度とグラス
日本ではビールをキンキンに冷やすのが当たり前だ。ピルスナーはそれで正解で、低めの温度のほうがキレが立つ。
エールやスタウトは事情が違う。冷やしすぎると香りが閉じてしまうので、10〜13℃くらいで飲むのが向くとされるスタイルが多い。冷蔵庫から出して少し置くくらいでちょうどいい。
ベルギーでは銘柄ごとに専用グラスがあるのも有名だ。口がすぼまった形は香りを逃さないためで、ジョッキで一気に飲む日本の飲み方とは楽しみ方の軸が違う。
違いを確かめられる海外ビール5本
違いは読むより飲むほうが早い。スタイルの違うものを1本ずつ選んだ。どれも KOKYO MARKET で扱っている。
イェーヴァー ピルスナー(ドイツ)
日本のビールに一番近い位置から始めるならこれ。ドイツ北部のピルスナーで、度数は4.9%。苦みがはっきりしていて、日本の大手ビールより後味がドライに感じるはずだ。

麦芽・ホップ・水・酵母だけで造るドイツ北部のピルスナー。苦みが強めで、後味が乾いている。
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ヒューガルデン ホワイト(ベルギー)
小麦とオレンジの皮、コリアンダーを使う白ビール。白く濁っていて、苦みはほとんどない。「ビールの苦さが苦手」という人が最初に飲むならこちら。


小麦・オレンジピール・コリアンダーで造るベルギーの白ビール。度数4.9%、柑橘のような香り。
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ギネス エクストラスタウト(アイルランド)
焙煎した大麦を使う黒いエール。コーヒーやビターチョコのような香ばしさがある。冷やしすぎないほうが味が出る。


焙煎大麦の香ばしさが特徴のアイルランドのスタウト。度数5%。
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クーパーズ オリジナル ペールエール(オーストラリア)
瓶の中で酵母が生きているエールで、底に澱が沈んでいる。瓶を軽く転がして澱を混ぜてから注ぐのが現地の飲み方。度数4.5%と軽めで、果実のような香りがある。

瓶内で酵母が生きているオーストラリアのペールエール。度数4.5%、濁りとフルーティーな香り。
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ハイネケン(オランダ)
海外のピルスナーの代表。日本のビールと飲み比べると、同じスタイルでも麦の甘みや苦みの出方が違うのが分かる。

世界中で飲まれているオランダのピルスナー。苦みは控えめで、日本のビールとの飲み比べに向く。
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ベルギーの修道院ビールなど、度数の高いものを試したいときは楽天でも探せる。
海外ビールはどこで買える?
近所の店で買うなら
カルディ、成城石井、業務スーパー、コストコあたりが入りやすい。ハイネケンやヒューガルデンのような定番はスーパーにもあるが、イェーヴァーやクーパーズのような銘柄は輸入食品店でないと見かけにくい。
店ごとの品揃えはカルディで買える海外ビール全リストと業務スーパーの輸入ビールに書き出してある。
通販で買うなら
スタイル違いをまとめて揃えるなら通販のほうが早い。
→ ドイツ・ベルギー・アイルランドの定番から台湾や中国のビールまで直輸入で扱う。上で紹介した5本を1か所でまとめて買える
- 楽天市場
→ 飲み比べセットの種類が多く、楽天ポイントが貯まる
KOKYO MARKET で買えるおすすめ商品
この記事で紹介した商品の多くは、輸入食品・お酒の通販サイト KOKYO MARKET で購入できます。中国・台湾・韓国・ベトナムの食材から海外のビール・ワインまで、日本ではなかなか手に入らない商品を直輸入で取り扱っています。

ベルギー ヒューガルデンホワイト 330ml瓶 ABI 海外輸入ビール 1,800円
エストレージャダム 瓶 330ml スペインビール 海外輸入ビール 3,700円
ギネス エクストラスタウト 330ml瓶 海外輸入ビール アイルランドビール 3,300円
ハイネケン 350ml 缶 海外輸入ビール オランダビール 2,700円
通販サイトごとの送料や品揃えの比較は輸入ビールが買えるネット通販8選、国別のおすすめは海外ビールおすすめ30選にある。
よくある質問
海外ビールのほうが度数は高い?
一概には言えない。ハイネケンやギネスは5%で、日本の大手ビールと同じくらい。クーパーズのように4%台の軽いものもある。高いのはベルギーの修道院ビールや一部のIPAで、こちらは8%を超えるものも多い。
日本のビールは海外でどう見られている?
日本の大手ビールは海外でも売られていて、軽くてキレのあるラガーとして扱われることが多い。和食やアジア料理の店で置かれていることもよくある。
海外で飲んだビールと、日本で買った同じ銘柄の味が違うのはなぜ?
理由は大きく2つある。1つは、日本向けの商品が本国とは別の国の工場で造られている場合があること。もう1つは輸送の時間と温度で、特に香りの繊細なエールは鮮度の影響を受けやすい。缶や瓶の「原産国」の表示を見ると、どこで造られたかが分かる。
まずはピルスナー以外を1本
日本のビールと海外ビールの違いは、ほとんどが「スタイルの幅」の違いだ。日本の大手がピルスナーに集中しているぶん、海外のエールやスタウトを1本飲むだけで、ビールの印象はかなり変わる。
苦いのが苦手ならヒューガルデン、香ばしいのが好きならギネス。日本のビールに近いところから比べたいならイェーヴァーとハイネケン。まずは1本、普段と違うスタイルを選んでみるといい。



