今回は、台湾でおなじみの麺料理『紅焼牛肉麺(ホンシャオニューローメン)』の最高においしいレシピをご紹介します!
紅焼牛肉麵がどんな料理かと言うと、
牛骨や牛肉でダシをとって醤油味をベースに味付けしたスープに、柔らかく煮込んだ牛肉のぶつ切りがのった台湾の人気麺料理です。
台湾では牛肉麵の専門店がたくさんあって、紅焼牛肉麵もお店によってそれぞれ工夫が凝らされています。
ピリ辛のお店もある一方、甘さが際立つスープにしているところもあり、スパイスの香りを華やかに立たせているものなど様々です。
でもどの店でも共通しているように思うのは、「見た目と違い、あっさりした優しい味に仕上げている」ということ。
とろっとした赤茶色のスープは重めのこってり味を想像するのですが、実際に食べてみると全然そんなことなく、見た目とのギャップにちょっと驚きます。
現地の人たちに人気がある麺料理というのも納得の食べ飽きないおいしさがあるんですよね。
本場台湾の味を再現すべく、家でもこの紅焼牛肉麵が食べたい。。。
ということで、
「ラーメンといえば台湾ラーメン」「どんぶりといえば魯肉飯(ルーローハン)」、
そんな台湾料理をこよなく愛する私がお届けしたい『最高においしい紅焼牛肉麵のレシピ』をご紹介いたします!
このレシピは「牛肉のダシがきいた旨味たっぷりの牛肉スープ」に、
「辛さと甘さのバランスがよくて、スパイスの香りが上品に立つ紅焼スープ」。
この2種類をブレンドした、最後の一滴まで飲み干すこと必至の絶品スープです。
麺は、「台湾の刀削麺」を使って本格的に仕上げています。
牛肉をじっくり煮込むので時間はかかりますが、『箸で切れるくらい柔らかい牛肉のぶつ切り肉』や『味わい深いスープ』は感動もの。
ぜひ試していただけたら嬉しいです!
このレシピを作った人
日々海外食品を使った、外国料理のレシピを開発しています。
頻繁に輸入食品通販や、周辺の輸入食品店で日本ではレアな食品・食材を探し歩いています。
これまで作った外国料理は15カ国以上、100品以上!試行錯誤して作った外国料理レシピをご紹介します。
食卓に新しいバリエーションを加えるために参考にしてもらえれば嬉しいです!
「紅焼牛肉麺(ホンシャオニューローメン)」とは?
「紅焼・牛肉麺(ホンシャオ・ニューローメン)」の「紅焼(ホンシャオ)」とは、醤油をベースに豆板醤の辛味や八角などスパイスの香りを加え、蒸したり煮たりする料理のことをいいます。
この「甘じょっぱくてピリ辛で、スパイスの香りがする味」は、台湾では麺料理に限らず、よく見られる味付けです。
そもそも台湾の醤油は日本の一般的な醤油と違って甘さを効かせたものがほとんどで、台湾料理特有の甘みとコク出しに頻繁に使われます。
「牛肉麵(ニューローメン)」とは、牛骨や牛肉で出汁をとった麺料理のことです。
具材にはよく煮込まれたぶつ切りの牛肉がごろごろのっていて、ボリューム感があります。
麺は店によって様々ですが、小麦に卵や「かんすい」を使用せず自家製で作られることが多く、小麦の味が際立つ淡白な麺がほとんどです。
麺のタイプで例えるなら、中華麺よりはうどんに近い感じがします。
牛肉麺は先程ご紹介した「紅焼」以外にも、塩味ベースの澄んだスープに胡椒や花椒の香りを加えた「清燉(チンドゥン)牛肉麺」も台湾ではポピュラーです。
また「紅焼牛肉麵」の仲間で、トマトが入った「紅焼蕃茄(ファンチエ)牛肉麺」も人気があります。
トマトを牛肉の脂肪分と一緒に食べるとおいしいだけでなく、栄養成分「リコピン」の吸収がよくなるそうなので最高の組み合わせなんです。
今回のレシピでも、具材にトマトが入っていますよ。
牛肉は脂肪の少ない部位を使っていますが、コク出しに牛脂を加えているのでリコピンもしっかり吸収できそう。
牛肉を長時間煮込むことでおいしくなる料理なので時間はかかりますが、
「とろとろに煮込まれた牛肉と、手作りの絶品スープが淡白な刀削麺に絡まる」感動の一杯です。ぜひお試しくださいね!
台湾の麺料理レシピ【紅焼牛肉麺】を作るなら「これがあれば鬼に金棒!」
外国料理を本場に近い仕上がりとするために、私が大切にしていることは『本場の調味料を使うこと』です。
外国の調味料って独特の味と香りがありますよね。
それは「その国の気候や風土によって生み出されたもの」、その国ならではのものです。
なのでなかなか代用品でまかなえるものではないし、長い長い歴史をへて現地の人たちに愛用され続ける調味料にはそれなりの理由があります。
本場の味・香りを再現しようと思ったら、その国の調味料を使うことは必須であり、近道でもあるんです。
そこで今回のレシピでは3種類の輸入調味料を使って、本格的な「紅焼牛肉麺」を再現しています。
これに台湾の刀削麺と本場のザーサイの2つをプラスしたら、さらに「鬼に金棒」です!
「このレシピで使う輸入食品はこちら!」
1.脾県(ピーシェン)の豆板醤『丹丹脾県豆板醤』
まずは今回のレシピの「キモ」となる調味料、「豆板醤」から。
豆板醤は、そら豆に油と唐辛子の塩漬けなどを加えて発酵・熟成させて作る調味料で、食材に辛味と旨味を加えてくれます。
「脾県(ピーシェン)」は、長江(揚子江)の支流・岷江(みんこう)沿いにある都市の名前で、古くから豆板醤作りが盛んです。
中華料理の本場中国では、「ピーシェンのでなければ豆板醤ではない」と断言する人も少なくないくらい、厚い信頼を寄せられています。
こちらの「丹丹脾県豆板醤」は、そのピーシェンで作られた正統派の豆板醤です。
豆板醤は中華料理では頻繁に使われる調味料なので、本格的なものをストックしておくと料理がより本格的な仕上がりになりますよ!
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2.台湾の甘い醤油『金蘭の甘露油膏 』
台湾料理のおいしさを表現するとき「甘じょっぱい」はよく使われるワード。
この甘じょっぱさを再現するのに欠かせないのが、台湾の醤油「甘露油膏」です。
しっかり甘さのある醤油で、これを使えばぐぐっと台湾の味に近付きます。
台湾料理をお家で作りたいかたは常備しておくと便利に使える調味料です。
ただ甘いだけでなく、旨味がつまっているので砂糖だけでは難しい「コク深い甘さ」を手軽に出すことができますよ!
また原材料にもこだわって作られた調味料で、防腐剤不使用・グルタミン酸不使用・減塩というのが嬉しいポイントです。
3.台湾の紹興酒『台湾紹興酒 熟成5年』
台湾はじめ中華料理に不可欠なのが「紹興酒」です。
本格中華の味と香りを再現しようとするとき、調理酒・日本酒・焼酎・ワイン、そのどれでも代用がきかないと感じます。
特にこの紹興酒は、香りがめちゃくちゃ良くておすすめ。
グラスに注ぐとフルーティな香りが漂い、まるで高価な梅酒みたいです。
これを料理に使うと、口に入れたとき鼻を抜ける上品な香りに感動しますよ!
個人的には「カラメル色素が入っていない」点もおすすめポイントです。
4.台湾の刀削麺『台南関廟刀削麺』
「台南関廟刀削麺」は、スープの素などが付属していない乾麺タイプの刀削麺です。
シンプルな材料で作られているので無駄な味がなく、小麦主体で「紅焼牛肉麵」にはぴったりの麺だと思います。
ヒラヒラした側面をしていて面積の広い麺は、濃度のあるスープとよく絡んで好相性です。
ただひとつ残念な点は、これを置いているお店がなかなかないこと。私は、中華食材店を5軒まわりましたが見つけられませんでした。
入手方法はオンライン通販を利用するのがてっとり早いかもしれません。
中国系のお店の方も「これ、おいしいよね〜」とおっしゃっていた本場お墨付きの刀削麺です。
麺好きさんはぜひ一度試してくださいね!
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5.本場のザーサイ『四川搾菜ホール』
「四川搾菜ホール」は本場中国で作られたザーサイです。
以前、中国人の友人宅へ遊びに行き手作りワンタンをご馳走になったとき、その美味しさに驚いたことがあります。
友人に聞いてみると「中国のザーサイを使うことが秘訣」と言っていました。
本場のザーサイは、肉厚で「コリッコリっ」という食感。
食材と合わせると「調味料」として料理に旨味を加えてくれるということを教わりました。
それ以来、このザーサイを愛用しています。
ぜひ本場のザーサイを使ってみてください!手放せなくなりますよ。
「紅焼牛肉麺」レシピの材料(2名分)
⏳調理時間:約3時間
【材料】
■牛肉スープ(多めの分量になっています)
牛すねブロック肉 | 400gくらい |
下準備用:玉ねぎ | 1/2個 |
下準備用:日本酒 | 大さじ1 |
水 | 2000ml |
玉ねぎ | 1個 |
にんじん | 1本 |
パセリ | 1枝 |
ブラックペッパー(ホール) | 小さじ1/2 |
塩 | 小さじ1/2 |
■紅焼スープ
エシャロット(なければ玉ねぎで代用) | 1/2個 |
牛脂 | 3個 |
にんにく(皮をむいてつぶしたもの) | 2片 |
生姜(2〜3ミリ厚のスライス) | 2枚 |
赤唐辛子(鷹の爪) | 1本 |
ホールスパイス:八角(スターアニス) | 1個 |
ホールスパイス:陳皮(乾燥みかんの皮) | 適量 |
ホールスパイス:シナモン | 1片 |
ホールスパイス:ローリエ | 2枚 |
豆板醤 | 大さじ1と1/2 |
きび砂糖(なければ氷砂糖か白砂糖) | 小さじ2 |
紹興酒 | 大さじ1 |
甘露油膏(台湾の甘い醤油) | 大さじ1 |
牛すね肉の下準備で使った漬け汁 | 全量 |
水 | 300mL |
■「紅焼牛肉麵」
牛肉スープ | 適量 |
紅焼スープ | 適量 |
牛肉スープの牛肉 | 全部 |
刀削麺(なければうどんや中華麺で代用) | 2人前 |
トマト | 1個 |
醤油 | 大さじ1 |
パウダースパイス:花椒(ホワジャオ) | 小さじ1〜2 |
トッピング用:ザーサイ | 20g |
トッピング用:シャンツァイ(香菜) | 1枝 |
トッピング用:青ネギ | 1本 |
「紅焼牛肉麺」のレシピ・作り方
【牛肉を下準備する】
- 肉を柔らかく仕上げるために、すりおろした玉ねぎと日本酒で牛すねブロックをひと晩漬けておく。
*フリーザーバッグを使うとまんべんなく漬かりやすいです。
*今回は100〜200gの牛すね肉のブロックを3つ(合計400g)使っています。
【牛肉スープを作る】
- 1の牛肉を漬け汁から取り出して厚手の鍋に入れ、分量の水を注ぎ、弱めの中火にかける。
*漬け汁は後ほど使うので捨てないでください。
煮込みながら、あくを丁寧に取り除く。
- 牛肉スープの野菜とスパイスを準備する。
玉ねぎは皮をむいて半分にカット、にんじんはざっくり3等分くらいにしておく。
- 2のあくが取れてスープが澄んできたら、3の野菜とブラックペッパー(ホール)、塩を加えて弱火で1時間半〜2時間ほど煮込む。
*フタをして、時々あくをとりながらじっくり煮込みます。強火でぐらぐら煮ないのが雑味のないスープに仕上げるコツです。
【紅焼スープを作る】
- 紅焼スープの材料を用意する。
*写真手前の真ん中がエシャロットです。台湾料理ではフライドエシャロットが頻繁に使われます。
- 紅焼スープのホールスパイスと豆板醤を分量測って用意しておく。
- エシャロットの皮をむき、半分に切ったら薄くスライスする。
- フライパンに牛脂を溶かし、さらにオリーブオイル(分量外)を足し、たっぷりの油で7のエシャロットをカリカリになるまで揚げ焼きにしたら取り出しておく。
*牛脂がなければオリーブオイルだけでも大丈夫ですが、牛脂だとよりコクが出ます。
- 8のフライパンに、にんにく・生姜・赤唐辛子と、ローリエ以外のホールスパイスを入れて弱火にかけてじっくり香りを出す。
*お好みでフェンネルシードを加えてもおいしいです。
- 豆板醤を加え、香りが出るまでしっかり炒める。
さらに、きび砂糖・紹興酒の順に加えて煮立たせる。
- 甘露油膏と、1の下準備で使った牛肉の漬け汁を加える。
- 全体に味が馴染んだら、分量の水を加える。
- ローリエを加え、8のエシャロットをフライパンに戻し、弱めの中火で20分ほど煮込む。
【牛肉スープを完成させる】
- 1時間半〜2時間ほど煮込んだ4の牛肉スープから牛肉を取り出し、ひと口サイズにカットする。
- 牛肉スープを濾したら、使用する器にあわせて適量を鍋に取り分けておく。
*牛肉スープと紅焼スープを、3(牛肉スープ):1(紅焼スープ)くらいの割合でブレンドするので、700mlくらい必要です。
【紅焼スープを仕上げる】
- 13の紅焼スープに醤油と花椒を入れてひと混ぜしたら、くし切りにしたトマトを加える。
- さらに14の牛肉を加えて、スープを絡めながら15分ほど弱火で煮込む。
- 味見して味を整えたらホールスパイスを取り除く。
*塩味が足りなければ醤油・辛味なら花椒を追加して、お好みの味に仕上げてください。
【トッピングを準備して、紅焼牛肉麺を仕上げる】
- トッピングの青ネギを小口切りし、シャンツァイは食べやすくカット、ザーサイは表記に従って塩抜きして水気をきっておく。
同時に、麺を茹でるための湯を沸かす。
*このレシピで使用している「四川搾菜ホール」の場合、分量をスライスして軽く水洗いした後、5分水につけたら1度水を交換し、再び10分ほど水につけて塩抜きしています。
- 麺を茹でる(4分程度)。
麺が好みの硬さになったら、ザルにあげ水気をよくきる。
- 器に麺を盛り、18の牛肉など具をのせて紅焼スープをかける。
*お好みの濃さになるように紅焼スープをかけます。
「牛肉スープ3:紅焼スープ1」くらいの割合がおすすめです。
- 再度沸騰させた15の牛肉スープを注ぐ。
- トッピングをのせて召し上がれ。
「このレシピで使った輸入食品はこちら!」
1.脾県(ピーシェン)の豆板醤『丹丹脾県豆板醤 』
2.台湾の甘い醤油『金蘭の甘露油膏 』
3.台湾の紹興酒『台湾紹興酒 熟成5年』
4.台湾の刀削麺『台南関廟刀削麺』
5.本場のザーサイ『四川搾菜ホール』
「紅焼牛肉麺」を調理・実食した感想
間違いなく最高の一杯です!
見た目はどろっとしているのに優しい味。
牛ダシがしっかり効いたスープはしみじみおいしくて、最後の一滴まで完食。ふぁ〜、大満足です。
甘味・辛味・酸味のバランスがよくて、芳醇なスパイスの香りが鼻を抜けます。
ところで、
たくさんスパイスを使う料理って、いい香りがしない上に苦味が出たりしてうまくいかないことありませんか?
今回、個人的にいちばん勉強になったのはスパイスの使い方です。
「パウダースパイスはぐつぐつ煮込んじゃだめ」ってこと。
パウダースパイスを最初に入れて長時間煮込むと、いい香りがとんで苦味だけが残るそうです。だから今回のレシピでは、最後の仕上げに花椒パウダーを入れていますよね。
逆に「ホールスパイスは、最初に油に入れて弱火でじっくり香りを抽出する」のが大切なんです。
これでスパイスが変な苦味を出さず、上品な香りを食材にまとわせてくれます。
それにしても、牛肉を2時間もぐつぐつ煮込んだのでえらい時間がかかりました。
でも苦労を補って余りあるおいしさだったので、ほんの少し心が豊かになった気分。
柔らかく仕上がった牛肉は、ほら、箸で簡単に切れちゃうくらい!
「紅焼牛肉麺」はボリュームがあって優しい味でおすすめの台湾料理です!
※「本場の中華調味料」を使った他のレシピ